がんの再発・転移と「がん幹細胞」の関係

がんの再発・転移と「がん幹細胞」の関係
がんの再発や転移が起こる背景には、「がん幹細胞」と呼ばれる特殊な細胞の存在が関係していると考えられています。
がん幹細胞とは何か?
がん幹細胞は、
- 自分自身を増やす力(自己複製能)
- 再びがんを作り出す力
をもつ、がんの“根”のような細胞です。

手術や抗がん剤、放射線治療によって画像上はがんが消えたように見えても、
このがん幹細胞が体内に残っていると、
時間をおいて再発や転移を引き起こす可能性があると考えられています。
なぜ治療後に再発が起こるのか?
がん幹細胞は、
- 分裂スピードが遅い
- 抗がん剤や放射線に耐性を持ちやすい
- 体内に潜むように存在する
といった特徴があり、
一般的ながん治療の効果を受けにくいことが知られています。
そのため、
「治療でがん細胞の多くは減ったが、
幹細胞が生き残り、再び増殖する」
という形で再発・転移が起こると考えられています。

がん幹細胞に対抗できるものは何か?
現在の医学において、
体内でがん幹細胞を継続的に監視・排除できる可能性がある仕組みとして注目されているのが、免疫システムです。
特に、
- NK細胞
- マクロファージ
- T細胞
といった免疫細胞は、
異常な細胞を見つけて排除する「監視役」として働いています。

薬剤や放射線のように
「外から直接叩く治療」とは異なり、
免疫は体内で常に働き続ける防御機構であり、
がん幹細胞のように数が少なく、潜伏しやすい細胞に対しても
重要な役割を担うと考えられています。
なぜ「免疫」が重要視されるのか?
① がん幹細胞は通常の治療に強い
がん幹細胞は、
- 抗がん剤が効きにくい
- 放射線にも耐性を示しやすい
- 分裂が遅く、標的になりにくい
という特徴を持ちます。
そのため、
「増殖している細胞を一気に叩く」治療とは相性が悪いとされています。
② 薬や放射線は「一時的」だが、免疫は「常に働く」
抗がん剤や放射線は、
- 投与・照射している期間だけ作用する
- 副作用の制限がある
一方で免疫は、
- 24時間体内で監視を続ける
- 数が少ない異常細胞も標的にできる可能性がある
という性質を持ちます。
がん幹細胞のように
数が少なく、潜伏する細胞に対しては、
持続的な監視機構が必要であり、
この点で免疫の役割が非常に重要と考えられています。
再発・転移を考えるうえで重要な視点
再発や転移を防ぐためには、
一時的にがんを小さくすることだけでなく、
- 治療後の免疫状態
- 加齢や治療による免疫低下
- 免疫が正常に働き続けられる環境
といった治療後の体の防御力に目を向けることが重要です。
現在のところ、
がん幹細胞を完全に制御する単一の治療法は確立されていません。
その中で、免疫が果たす役割は極めて大きいと考えられており、
再発・転移を考えるうえで欠かせない視点となっています。