知らないうちに進行していた。そうならないために。

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「大きな病気」は、いきなり起きるように見える

がんも、感染症も、体調の崩れも。
多くの人が「ある日突然」と感じます。

でも実際は、その日の前から、体の中では小さな変化が積み重なっています
問題はそれが 痛みや熱のように分かりやすく出ない ことです。

その背景には免疫が深く関わっています。

知られていない事実:
最初に落ちるのは「免疫の強さ」ではなく“初動”

ここは、多くの方が誤解しているポイントです。

「免疫が落ちる」と聞くと、免疫が“弱くなる/少なくなる”ことをイメージしがちですが、実際はもっと手前で変化が起きます。

免疫には大きく分けて2つの役割がありますが、今回大事なのは、異変を見つける・気づく(初動)ということです。

そして「知らないうちに進行していた」となりやすいのは、免疫がゼロになるからではありません。
多くの場合、最初の気づき=初動が鈍ることから始まります

初動が鈍ると突然病気になるのではなく、まずは以下のような症状があらわれます。

・風邪を「ひきやすい」より先に、治りにくい/長引く。
・口内炎、歯ぐきの腫れ、肌荒れなど、小さな炎症が増える。
・寝ても回復しない、眠りが浅い、だるさが続くなど、回復のスイッチが入りにくい。

この段階は、症状が強烈ではないぶん見落とされやすく、
「まあ大丈夫」「歳のせい」と流してしまいがちです。
だからこそ、気づいたときには “知らないうちに進んでいた” になりやすいのです。

初動が鈍る理由は人によって違います

さらに重要なのは、初動が鈍る理由が、人によって違うということです。

がんの再発が不安な方

起点:不安・緊張(メンタル) → 免疫の“初動スイッチ”が入りにくくなる

まず強いのは、「再発したらどうしよう」という持続的な警戒状態です。
この状態が続くと、体は“非常事態モード”になり、気づかないうちに 免疫の立ち上がり(初動)に影響が出やすくなります。

具体的には、次のような連鎖が起きます。

『不安や緊張が続く』
→ 眠りが浅い/途中で目が覚める/朝の回復感がない

『回復の時間が足りない状態が続く』
→ 免疫が「必要なときに立ち上がる」ための余力が減る

その結果、免疫の“初動”が鈍りやすくなり、
治りにくい・疲れが抜けない・小さな炎症が続く といった形で表れやすい

ここで大事なのは、「気持ちの問題」ではないということです。不安があるのは当然のことです。ただ、体はその状態を長く続けると、守る反応の立ち上がりが遅れやすい──これは多くの方が知らない盲点です。

だから当院では、再発の不安と向き合うときに、「気にしないようにしましょう」ではなく、免疫が立ち上がれる土台を作り、初動を取り戻すことを重視します。

言い換えると、再発予防に大事なのは、“不安をゼロにする”ことではなく、“免疫の初動を落とさない”ことです。

がん治療中・治療後の方

起点:治療の影響(身体) → 免疫の“初動スイッチ”が入りにくくなる

がん治療中・治療後は、体の中で「回復」が進んでいる一方で、守る力(免疫)の立ち上がり=初動が鈍りやすい時期でもあります。

理由は次のようなものです。

  • 抗がん剤などの影響で、免疫に関わる細胞がダメージを受けやすい
  • 白血球数などが一時的に低下しやすい
  • 食欲低下・体重減少・栄養不足が重なると、免疫の材料が足りなくな
  • 口内炎などの粘膜の炎症が起きやすく、 体力が削られる

大切なのは、必要なときに立ち上がれる状態を保つこと(初動を落とさないこと)です。

療内容と時期、体調の波を確認しながら、生活面の整え方に加えて、必要に応じて免疫の初動を支える“活性化”のアプローチも検討します。

③大きな病気がない方へ

起点:免疫老化+生活での消耗 → 免疫の“初動スイッチ”が入りにくくなる

見落とされがちなのが、加齢による“免疫の老化(免疫老化)”です。
年齢を重ねると、免疫はゼロになるわけではありませんが、
異変に気づいて立ち上がる速さ(初動)が落ちやすくなることが知られています。

そこに、睡眠不足・栄養不足・ストレス・運動不足など、日々の“消耗”が重なると、
体は静かに守る力を落としていきます。
これが「知らないうちに進行していた」につながる、典型的なパターンです。

免疫の初動を鈍らせる、『3つの見えない原因』

1) 回復不足(睡眠の質)
睡眠は免疫のメンテナンス時間です。「寝ているのに回復しない」「夜中に目が覚める」が続くと、免疫が立ち上がる余力が減っていきます。

2) 材料不足(栄養・特にタンパク質)
免疫は“材料があって初めて働ける仕組み”です。食事量が減った、炭水化物中心、体重が落ちてきた。こうした変化があると、初動が入りにくくなります。

3) 小さな炎症の持続(口・肌・腸)
ここが意外と盲点です。免疫低下は、口内炎・歯ぐきの腫れ/肌荒れ/お腹の不調など、“小さな炎症”として出ることがあります。これが続くと体力が削られ、免疫の初動はさらに鈍りやすくなります。

この段階はまだ“取り戻せる余地が大きい”反面、
放置すると気づいたときには崩れてしまうことがあります。

「検査が正常=安心」とは限らない

ここが誤解されやすいところです。つまり、「異常がない」ではなく、“気づく・守る・回復する”の動きが弱っているという状態です。血液検査が大きく崩れていなくても、免疫の“働き方”や“立ち上がり” が落ちていることはあります。

この段階は、まだ取り戻せる余地が大きい反面、放置すると「気づいたときには…」になりやすいのです。

現在、日本の免疫学会が中心となって、免疫に重要なNK細胞(ナチュラルキラー細胞)活性などを、人間ドックや定期健診の測定項目に追加する取り組みが進んでいます。

“免疫を活性化する”の意味は、無理に刺激することじゃない

免疫活性化と聞くと、「強くしすぎて炎症が悪化しない?」と不安になる方もいます。大事なのは、むやみに煽ることではなく、必要なときに、必要なだけ立ち上がる状態を作ること

これができると、次のことが期待できます。

  • がんの治療効果を支える
  • 再発予防につながる
  • 感染症への抵抗力が上がる
  • 回復が早くなり、疲れにくくなる

そして何より、「知らないうちに進行していた」を避ける土台になります。

もし最近、「治りにくい」「疲れが抜けない」「口内炎が増えた」「眠りが浅い」そんな小さなサインが続いているなら、今が整えどきです。

免疫は、最後に頼るものではなく、先に整えるもの。そう考えるだけで、未来の安心感は変わります。

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